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技術情報

鉄材の磁化について

鉄、磁石材料の保磁力

鉄材を磁化したい

「鉄材を磁化(着磁)したい」とお問い合わせを頂く事があります。
鉄材を強力に磁化すれば、磁力が永久磁石と同等になるとお考えでしたら、答えは「ノー」です。

上グラフは各材料の保磁力を比較したものです。

保磁力とは「磁化極性ををひっくり返すために加えなければならない逆向きの磁界」のことです。

つまり、保磁力が小さい材料は僅かな磁界の影響を受けただけでそれまで保っていた磁力が簡単に変化してしまいます。

逆に保磁力が大きい材料は永久磁石としてより安定して磁力を保ち続けます。

グラフから判るように永久磁石材料のフェライト、ネオジム磁石は鉄に比べるとかなり大きな保磁力があります。何故このような大きな違いがあるのでしょうか?

次項目をご参照ください。

補足説明

  • 外界からの磁気の影響に地磁気があります。
    地磁気は約0.5G(ガウス)程度です。(0.5 G≒0.5 Oe)
  • 材料の磁力の変化に影響があるのは他に熱、衝撃等があります。
  • 永久磁石の特性を表す項目は保磁力の他に残留磁束密度があります。
  • グラフの項目に磁気記録材料がありますが、ここでは材料の保磁力を比べたもので物質を吸い付ける吸着力とは違います。

物質の着磁(磁化)の原理

強磁性体の性質

強磁性体の性質をアニメーションにて御説明いたします。

磁石に吸いつく物質のことを強磁性体といいます。鉄材も磁石材料(フェライト、ネオジム)も勿論、強磁性体です。そして全ての強磁性体には磁区磁壁が存在します。

強磁性体の結晶の内部で、原子の磁気モーメントの向きのそろった小区域のことを磁区といいます。磁区とは簡単にいうと結晶内のミニ磁石の事です。そして磁壁とは磁区と磁区との境界のことです。

通常強磁性体は、外部から磁気の影響が無い時、磁気モーメントが内部で打ち消し合い、外部に磁力線を出さないような磁区構造を持っています。

硬磁性体と軟磁性体

鉄も磁石材料も強磁性体

前項のアニメーションでご説明させて頂いたとおり、 強磁性体の中には外界からの磁気の影響が無くなっても磁石としての性質を残す硬磁性体と磁気の影響が無くなると磁石で無くなってしまう軟磁性体があります。

磁石材料は初めから永久磁石では無く、生産工程の中で強力な磁界を与え磁化します。弊社の着磁電源装置、着磁ヨークは主に磁石材料を永久磁石にする為に使用されます。

磁石材料は硬磁性体で前記した保磁力も大きいので磁化後も安定して永久磁石としての特性を保ち続けます。

鉄材の場合、混じり気のない純鉄は磁気が残留する割合が大変小さく、炭素等不純物を多く含む材料(ドリル、カッターの刃、ドライバーの先端等)は残留磁気が比較的大きくなります。

鉄材の磁化について

まとめ

鉄材は永久磁石材料と同様な磁力を持った磁石になる事はありません。

  • 外界からの磁気の影響がある場合、磁壁がスムーズに移動し、容易に磁化します。
  • 外界からの磁気の影響無い場合、再び磁壁が移動し、磁石としての性質を失ってしまいます。
  • 炭素等の原子が鉄原子の磁気モーメントの向きが変わるのを防ぐため、純鉄と比較すると磁化するのに大きな磁場が必要となります。
  • 磁気の影響が無くなっても磁壁の移動は元の状態に戻らず、僅かに磁化した状態になります。

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