着磁装置の重要スペック
最高充電電圧、コンデンサー容量は着磁器の基本性能を決定します。 用途によって最適なスペックの物を選択する必要があります。
一般的に着磁器のコンデンサーバンクとして使用されるはオイルコンデンサー、ケミカルコンデンサー(電解コンデンサー)の2つのタイプがあり、それぞれの特徴をいかして使用されています。
例外を除くとオイルコンデンサーは高電圧で比較的小容量、ケミカルコンデンサーは比較的低電圧で大容量の着磁器に使用されます。
以下に当社で標準的に使用する容量、充電電圧について比較します。
タイプ | 高電圧タイプ (オイルコンデンサー) | 大容量タイプ (ケミカルコンデンサー) |
---|---|---|
容量 | 400μF~4000μF | 2000μF~20000μF |
充電電圧 | 1000V~4000V | 450V~1350V |
現在では従来のケミカルコンデンサータイプの代替として経年変化が少ない大容量オイルコンデンサーを搭載した着磁電源装置をご提案させていただく場合がございます。従来のケミカルコンデンサータイプと特性は同等です。
慣例として着磁電源装置のタイプを搭載するコンデンサーの種類でオイルコンデンサー、ケミカルコンデンサーと区別させていただいておりましたが、今後、オイルコンデンサータイプを高電圧タイプ、従来のケミカルコンデンサータイプを大容量タイプの着磁電源装置とし区別させていただきます。
上図を御参照ください。
上図はカタログ等に掲載されている着磁エネルギー(=J)を同じにして電圧、コンデンサー容量の条件が異なる着磁電源を同じ着磁ヨークに通電したときに発生した電流波形です。
着磁エネルギー(=J)が同じの場合、着磁の結果が同様になるのでは無く、右グラフにあります電流波形の面積が等しくなります。
電流波形の形状からオイルコンデンサータイプは発生している最大電流が大きく、ケミカルコンデンサータイプは通電している時間が長くなっている事が解ります。 発生磁界の強さは電流の大きさに比例しますので着磁エネルギーは同じでもオイルコンデンサータイプの方が大きな磁界を発生させている事になります。
ここでは着磁電源装置の基本回路と同様に水の流れに例えてみます。
同じ水量(充電エネルギー)を2種類の水容器(コンデンサー容量)に溜めます。 高さがあり、底面積の小さい水容器の栓を開けた場合、水が勢い良く流れ始め、流れている時間が短いはずです。 一方、高さが低く、底面積が大きい水容器は徐々に流れ始め、水が流れている時間が長いはずです。 これは水容器にかかっている水圧(電圧)が違うためです。
水容器の底面積はコンデンサー容量、溜まっている水位の高さは充電している電圧に例えられます。 電気回路は電圧が高いほど、電流が流れやすくなり、コンデンサー容量が大きいほど充電した電荷が放電する時間が長くなります。
着磁電源装置タイプ別の特色
以下に高電圧タイプ、大容量タイプの長所、短所を比較します。
着磁電源 タイプ | 高電圧タイプ | 大容量タイプ |
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長所 | 通電している時間を短く出来るのでヨーク、コイルの発熱が抑えられる。 (着磁ヨークを用いた多極着磁に最適です。) 電圧を高く設定できるので、高磁界を発生させやすい。 | 比較的、安価で製作可能。 発生磁界の変化が緩やかなので渦電流による損出、電位差によるスパーク等が軽減できる。(フェライト磁石仕様のモーターをアッセンブリーした状態で着磁するのに最適です。) 省スペースで大容量の電源装置が製作可能。 |
短所 | 大容量の電源装置は装置外形が大きくなる。 発生磁界の時間変化量が大きいので渦電流による損出、電位差によるスパークが発生しやすい。 | 通電している時間が長くなるので使用するヨーク、コイルが発熱しやすい。 (使用するヨーク、コイルに充分な冷却が出来ない場合、通電間隔を長く設定する必要があります。) 高磁界を発生させるのに大きなエネルギーを必要とする。 構造上、経年変化による劣化、部品破損が発生しやすい。(ケミカルコンデンサーの場合) |