マグネット又は工具等の鉄材を脱磁するためには、脱磁電源装置と脱磁コイルが必要となります。
コンデンサー式脱磁電源装置はコンデンサーをエネルギーバンクとし、通常の商用電源を使用して大きな発生磁界を得ることが出来ます。
商用交流電源を直接用いた脱磁システムで脱磁出来ないBHエネルギー積の大きいマグネット等は本装置を用いることで脱磁が可能になります。
脱磁電源装置からコイルに通電しますと、コンデンサーからコイルへと電流が流れ始めます。そして今まで流れていた電流がゼロになろうとするとそれを妨げようとする自己誘導がコイルに生じます。
この時コイルに生じた誘導電流によってコンデンサーに今までと逆の電荷が充電され始め、発生したエネルギーが全て充電されるしまうと、今度はスタート時と逆の電流がコイルに流れ始めます。
このコンデンサーとコイルによる共振電流によって、コイルに交互に逆の電流(発生磁界)が発生します。しかしこの電流は回路の抵抗成分などにより徐々に減衰していきます。 この共振減衰を利用し、対象物の脱磁を可能にしているのがコンデンサー式脱磁電源装置です。
脱磁電源装置は充電に使用するコンデンサーバンクを着磁電源装置と共通にして製作が可能ですので、スイッチで着磁、脱磁を切り替えることの出来る着磁、脱磁電源装置も製作可能です。
基本仕様、及びオプション機能は着磁電源装置の項目を御参照ください。
脱磁電源装置の基本回路の項目でご説明した共振減衰の周波数はコンデンサー容量、コイルのインダクタンスで決定します。
脱磁電源装置のコンデンサー容量と接続するコイルは対象物に最適なものを選択する必要があります。
最高充電電圧 | コンデンサー容量 | 型式 | 適応用途 |
---|---|---|---|
1500V | 1000μF | MAD-1510 | あらゆる磁石材質の脱磁(サマコバ、アルニコ、フェライト、希土類(焼結、ボンド)ネオジウム磁石等) ドリル等の工具から、ベアリング等の鉄材の脱磁 磁石成型(磁場配向)時の金型内脱磁 テレビ、ディスプレイ(シャドウマスク)、の消磁等 |
2000μF | MAD-1520 | ||
2500V | 1000μF | MAD-2510 | |
2000μF | MAD-2520 | ||
3000μF | MAD-2530 | ||
3500V | 2000μF | MAD-3520 | |
3000μF | MAD-3530 |
非磁性であるオーステナイト系ステンレス(SUS304等)が磁性をもってしまい、消磁を行いたいとお問い合わせをいただく事があります。 前記鋼材の消磁には熱処理が有効です。その他ステンレス鋼の磁性における特性などご説明いたします。
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